2007年04月03日 01:43

ジャンル: [スポーツ・勝負論

高橋淳二

不動心(松井秀喜著)

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出版社:新潮社

定価:680円+税

発行日:2007年2月

悔しさは「過去」ではなく「未来」へぶつけるのです。僕にとっては、それが素振りです。

(P.89より引用)

先日、友人と「松井秀喜の言葉を聞きたいか?」という話をしました。イチローが語る打撃論や、中田英寿が語る心情のように「語録」と表現されるような自分の言葉を、松井秀喜は持っていないように思う―。友人の意見はそのような内容で、なるほどそうかもしれないなあと僕も思い、本当はどうなんだろうという思いもあってこの本を手にしました。

結論から申し上げると、松井秀喜には「語録」と呼ばれるような言葉を持ち合わせていないし、今後もそんな珠玉の言葉が松井から生まれることは無いんだろうなあ。松井が歩んできた野球人生ってかなり劇的なものであると思うのに、その感慨がまったく本から感じられない。ただし、この本が面白くない、ということではありません。

星陵高校の一塁側ベンチや室内練習場には、こんな言葉が掲げられていました。

心が変われば行動が変わる

行動が変われば習慣が変わる

習慣が変われば人格が変わる

人格が変われば運命が変わる

(P.102より引用)

雑誌『AERA』に「現代の肖像」という企画があります。筆力のある書き手の方が1人の人物に焦点を当てて切り取っていくのですが、以前、松井秀喜について書かれた回がありました。この回ほど「対象が描き切れていないなあ」と感じた回はなかった。松井ってどんな人物か、全然言い切れてないじゃん、と。

けれども時間が経つにつれ、その松井の回の文章がやけに印象に残っているのです。描き切れていないことがむしろ“正解”のような気もしてきているのです。人間を端的に表現することはすごく難しい。とりわけ、外見上ゴジラというわかりやすいキャラクターである松井は、実は「言葉」という観点から最も難解、言い表し難い存在のように思うのです。

コーヒーを飲んでいて、松井秀喜って何だろうと思うときもあります。実際のところ、本当の松井秀喜というのが何なのか、自分でもよく分かってないんです。

(P.185より引用)

なぜ難しいのでしょうか。あまりにもシンプルすぎるからなのでしょうか。この本を読む限り、松井の言葉はすべてシンプルです、本当に。「考えてもしょうがないことは考えない」という松井のシンプリシティが、松井を難解な存在にしているのでしょうか? 考えれば考えるほど不可思議な人物に思えてきます。

ただ、僕の中で間違いないのは、松井の打席は見ていて面白いということ。それは、読み合いの妙や卓越した技術のようなものではなく、もっと「ホームラン打ってくれ」というようなシンプルな期待感です。プレイに求めるものと、言葉の奥行きに求めるものの深度は似ているのかもしれません。この本を読むことで、自分が野球選手・松井秀喜に期待していることが何なのかが再確認できると思います。

Comments

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この記事へのコメント一覧です:

ほんとに松井は難しいです。
でも彼は打席に立っているだけでワクワクさせてくれるので(・∀・)イイ!!

「友人」(´ー`)y-~~ (2007年04月03日 23:38)

ほんとに松井は難しいです。
でも彼は打席に立っているだけでワクワクさせてくれるので(・∀・)イイ!!

>コメントありがとうございます。そうなんですよ、そういう意味では松坂も同じ感じですよね。でも、初登板の4イニング目の三者三振はすごかったですね!特に左の三番バッターに投げたカーブ。

匿名 (2007年04月06日 13:31)

松坂はエースの風格でしたねー。
シリングからいろいろ学んで,夏頃になると,すごいことになってるのではないでしょうか。成績うんぬんではなくて佇まいが。楽しみですわ。

(´ー`)y-~~ (2007年04月07日 01:15)


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